家事審判法
第3章 調 停 ********************************

第17条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件について調停を行う。但し、第9条第1項甲類に規定する審判事件については、この限りでない。 

第18条 前条の規定により調停を行うことができる事件について訴を提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停の申立をしなければならない。

2 前項の事件について調停の申立をすることなく訴を提起した場合には、裁判所は、その事件を家庭裁判所の調停に付しなければならない。但し、裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。 

第19条 第17条の規定により調停を行うことができる事件に係る訴訟が係属している場合には、裁判所は、何時でも、職権でその事件を家庭裁判所の調停に付することができる。
2 前項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し又は第23条若しくは第24条第1項の規定による審判が確定したときは、訴の取下があつたものとみなす。 

第20条 第12条の規定は、調停手続にこれを準用する。 

第21条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。但し、第9条第1項乙類に掲げる事項については、確定した審判と同一の効力を有する。
2 前項の規定は、第23条に掲げる事件については、これを適用しない。 

第21条の2 遺産の分割に関する事件の調停において、遠隔の地に居住する等の理由により出頭することが困難であると認められる当事者が、あらかじめ調停委員会又は家庭裁判所から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。 

第22条 調停委員会の組織は、家事審判官1人及び家事調停委員2人以上とする。

2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。 

第22条の2 家事調停委員は、調停委員会で行う調停に関与するほか、家庭裁判所の命を受けて、他の調停事件について、専門的な知識経験に基づく意見を述べ、又は嘱託に係る紛争の解決に関する事件の関係人の意見の聴取を行う。

2 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所が定める。 第22条の3 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所の定めるところにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。 

第23条 婚姻又は養子縁組の無効又は取消しに関する事件の調停委員会の調停において、当事者間に合意が成立し無効又は取消しの原因の有無について争いがない場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、正当と認めるときは、婚姻又は縁組の無効又は取消しに関し、当該合意に相当する審判をすることができる。

2 前項の規定は、協議上の離婚若しくは離縁の無効若しくは取消、認知、認知の無効若しくは取消、民法第773条の規定により父を定めること、嫡出子の否認又は身分関係の存否の確定に関する事件の調停委員会の調停にこれを準用する。 

第24条 家庭裁判所は、調停委員会の調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、当事者双方のため衝平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のため離婚、離緑その他必要な審判をすることができる。この審判においては、金銭の支払その他財産上の給付を命ずることができる。

2 前項の規定は、第9条第1項乙類に規定する審判事件の調停については、これを適用しない。 

第25条 第23条又は前条第1項の規定による審判に対しては、最高裁判所の定めるところにより、家庭裁判所に対し異議の申立をすることができる。その期間は、これを2週間とする。

2 前項の期間内に異議の申立があつたときは、同項の審判は、その効力を失う。

3 第1項の期間内に異議の申立がないときは、同項の審判は、確定判決と同一の効力を有する。 

第25条の2 家庭裁判所は、調停又は第24条第1項の規定による審判で定められた義務の履行について、第15条の5から第15条の7までの規定の例により、これらの規定に掲げる措置をすることができる。 

第26条 第9条第1項乙類に規定する審判事件について調停が成立しない場合には、調停の申立の時に、審判の申立があつたものとみなす。

2 第17条の規定により調停を行うことができる事件について調停が成立せず、且つ、その事件について第23条若しくは第24条第1項の規定による審判をせず、又は第25条第2項の規定により審判が効力を失つた場合において、当事者がその旨の通知を受けた日から2週間以内に訴を提起したときは、調停の申立の時に、その訴の提起があつたものとみなす。